ICCトヤマの活動

平成21年11月 研修旅行報告
『東北の建築と秋を満喫する旅』

日 時 平成21年 10月 3日 ~ 10月 5日
場 所 青森県立美術館、国際芸術センター青森、十和田市現代美術館、中尊寺、せんだいメディアテーク、松島、瑞巌寺、円通院、菅野美術館

 本年度の研修旅行の担当をすることがきっかけで、いつもはなかなか参加できないのですが、ICCトヤマに入会して初めての研修旅行に行ってきました。一緒に旅を楽しんできた金森さんと宮原さんが撮られた写真をもとに、旅行記としてつづりたいと思います。

 

<1日目>

写真110/31 22:20 富山駅発の寝台列車「日本海」に乗っていざ青森へ。(写真1)寝台列車はなかなか眠れないと聞いていたので、少し寝酒を持ち込んで乗り込みましたが、乗ってびっくり、高岡駅組はすでに宴会を始めておられました(笑)。これからの3日間のことをあれこれ想像しながら、こぢんまりながらも盛り上がりました。

翌朝8:30に青森駅につき、これからの3日間お世話になる三八五観光の須藤さんが運転するバスに乗り込み最初の目的地、青森県立美術館へ。9:00に現地に着きましたが、10月より開館時間が9:30からとのこと。じゃあ近くの縄文時遊館へ行こう、ということで見学してきました。

 青森県立美術館の看板にもあるとおり(写真2)車で3分ぐらいの所にある縄文時遊館は三内丸山遺跡のそばにあり、縄文時代の生活や文化についての展示がされておりました。(写真3、写真4)

改めて、青森県立美術館へ(写真5)
「木」と「a」をモチーフにしたトレードマークにはネオンが点っておらず、朝だからしょうがないかと思いながらも、ちょっと残念でした(写真6)

常設展示を見学してきましたが、間近で見た「あおもり犬」はやっぱり大きかった(写真7)。そのほか、棟方志功から奈良美智まで郷土の作家を中心にした展示は見どころもとても多かったです。

次に向かったのは、国際芸術センター青森。(写真8 建物外観)(写真9 四季のアーケード)

青森公立大学の隣に位置しています。建物は森の中に佇むように存在していて、滞在するアーティスト達の想像力をかき立てているようです。見どころはやはり、森の中に点在する数々の作品です。(写真10)(写真11)

富山にも「まちのかお」として自然と共存する作品がありますが、このような作品たちは四季により様々な見え方をするのだろうと思いました。森の中を散策するのもとても楽しかったです。

次は、一日目最後の見学先となる十和田市現代美術館へ。(写真12)

今回の研修旅行の見学先では、皆さんが一番楽しみにしておられたのではないでしょうか?

Arts Towada(アーツ・トワダ)として、十和田市の中心市街地に位置する長さ約1.1kmの官庁前通り全体を美術館と見立て、「アートによるまちづくり」プロジェクトが行われており、現代美術館はまさにその拠点施設として存在しています。外部との繋がりを意識した作品展示も多く、都市に開かれた構成になっているというのがよく分かりました。(写真13,14、15,16)

また日没から21時までの間、建物は作品として色とりどりの光でライトアップされ、四季折々、イベントごとに色の変化を楽しめるようになっています。寒さのなか、夕食後に観た光のアートは素敵でした。私的には、3年前の定例会で講演をしていただいたパヴェル・トルンカさんのガラス彫刻を思い返しました。色の移り変わる姿は本当に感動的で、一日目のシメとして最高の時間を過ごすことが出来ました。(写真17,18,19)

 

<2日目>

二日目は青森から岩手県を経て宮城県へ向かう行程でした。
東北では紅葉が見頃で(写真20)、中尊寺でも紅葉はとてもきれいでした。(写真22)

国宝の金色堂は中尊寺創建当初の唯一の遺構として存在しており、皆金色の阿弥陀堂は荘厳の限りが尽くされ、極楽浄土を現世にあらわしています。(写真22、内部は撮影禁止なので外より)

その他、中尊寺経を納めていた重文の経蔵(写真23)など平安美術にふれる良い機会になりました。

次に向かった先は、せんだいメディアテーク。(写真24)
仙台市の美術や映像文化の活動拠点であると同時に、すべての人々が様々なメディアを通じて自由に情報のやりとりが出来るようにすることを目的とした公共施設として知られています。ライブラリーやギャラリーには、若い方からお年寄りまで多くの方が訪れていました。

建物の構造が特徴的でした。外観写真を見ると分かりますが、断熱を考えた正面側の2重のガラス面(ダブルスキン)や、建物を構成する13本の鉄骨のチューブ柱など。そのチューブを通じて各階に自然光が取り入れられているのもよく分かりました。(写真25、26)

2日目は紅葉めぐりも印象的でした。松島では、3日目の予定の瑞巌寺にもフライングでちょっと寄りました。瑞巌寺の隣に位置する円通院の紅葉のライトアップがとてもきれいでした。(写真27)

二日目の宿ホテル大観荘では、地場産の野菜や牡蠣などの美味しい料理とお酒をいただき、翌朝は景観豊かな松島の朝の景色も楽しむことが出来ました。(写真28、29)

 

<3日目>

あらためて前日に立ち寄った瑞巌寺へ。(写真30)

瑞巌寺本堂は、作年より大修理期間に入っていて見学できませんでしたが、代わりに特別公開されていた国宝の「庫裡(庫裏)」という建物を見学しました。禅宗寺院の台所として使用されていたそうで、大屋根の上に煙出しが載っているのが特徴的でした。(写真31)

その後あらためて円通院へ。石庭はとても厳かな雰囲気で、ライトアップされた前日の晩も良かったですが、昼に見る風景もまた格別でした。(写真32)

その後は、遊覧船で塩竃へ。天気も回復し、船上から見る景色はきれいでした。
多数ある大小の無人島にはそれぞれ、松島の歴史や土地にゆかりがある名前が付けられているのも印象的でした。牡蠣や海苔の養殖場の前を通り、前日に食べた牡蠣が美味しかった事を思い返しました。(写真33,34)

塩竃に到着し、最後の見学先の菅野美術館へ向かいました。

住宅街のなかにあるこの美術館へのアクセスには、予定外でしたがタクシーを利用しました。バスでは通れない位の狭い道だということが、運転手の須藤さんが調べていてくれたおかげで分かり、トラブルもなく最後の目的地にたどり着くことが出来ました。数々の彫刻を所有するこの個人美術館は、ホームページを見て、行ってみたいと私が希望して、今回の見学先に加えさせていただきました。造船の技術が駆使された、エンボス模様が入ったコールテン綱という綱板によって構成された建物は、建物自体がまるで彫刻のようでした。(写真35,36)

内観写真はありませんが、随所に設けられた採光窓から差し込む様子がとても素敵でした。企画展「朝倉文夫展」では自身の代表作のほか、猫を題材とした作品が多く展示されていました。

すべての行程を終了して、仙台駅へ。

これまで、青森から宮城まで私たちを乗せて頂いた運転手の須藤さんとお別れし、富山までの長い帰路につきました。

大きなトラブルが無く今回の旅行が出来たのは、参加者皆さんの力添えはもちろんですが、須藤さんに色々とアドバイスを頂いたおかげでした。

移動中の車内でのガイドや、お仕事を通じての面白いお話など、最後まで私たちを楽しく案内して頂きました。

東北へ美術館めぐりで来た私たちがよほど珍しかったようで、車内では頻繁に「あんたらすごいね〜。頭いいんだね〜。」と言っておられたのが印象に残っています。「俺もちょっとは美術の勉強しとくから、また遊びに来てね。」と言って、再び青森まで向かって行かれました。

家へ着き、この3日間のことをあれこれと思い返して見ました。

感動もあり、笑いもあり、とても充実した3日間でした。

初めての旅行の担当で、不手際もとても多かったと思います。
参加者の皆さんに色々な場面で助けて頂いた事に改めて感謝しています。
楽しく旅行ができたと思います。本当にありがとうございました。

(八田 記)