ICCトヤマの活動

平成19年10月定例会報告
田中優氏講演会「私たちの環境、私たちのエコロジー」

日 時 平成19年10月6日(土)
場 所 富山県教育文化会館501号室
アフターセミナー 月読 富山駅前店
参加人数 講演会 : 34人
アフターセミナー : 12人

10月度の定例会は初めての試みでエコロジーに関する勉強会を行いました。

講師の田中優さんは地域での脱原発活動やリサイクルの運動を出発点に、環境、平和など多くの市民運動に参加され、「未来バンク」や「ap bank」、「足温ネット・えどがわ」などの団体の立ち上げやその活動に関わってこられました。環境問題にとても造詣が深く、セミナーは地球温暖化についての話題から始まり、石油の問題と戦争の関係、さらに省エネと自然エネルギーの重要性とその可能性へと進みました。

話のなかで、シベリア材が伐採されその結果シベリアの永久凍土が溶けて湖になり、その下にある大量のメタンガスが噴出しさらに温暖化が進む、そうなると温暖化はもう誰にも止められなく、人類が滅びるのを待つしかない「ポジティブフィードバック=悪循環」というお話がありました。他にもポジティブフィードバックのお話はありましたが、シベリア材の伐採に日本の産業が多く関わっていて、ということは私達建築関係者も必然的に関わっている、という事実は参加者にとってかなり衝撃的だったのではないでしょうか。

また、温暖化の原因は人為的なものだけれども、それには産業の影響が大きく、私達のライフスタイルを変えることでは解決できない。石油に頼らない社会、産業における電気の使用の仕方や、石油から自然エネルギーへと変えていく社会の仕組み作りが大事だということでした。田中優さんは、「努力・忍耐」は今の私達には全く必要ないと言っておられ、「ちょっと難しい話」と思っていた私達も少し前向きな気持ちを持つことが出来たのではないでしょうか。

一方、私たちが日々の生活において「努力・忍耐」無しで実践できるエコロジーとして省エネの話がありました。そのなかで「足元から地球温暖化を考える市民ネットえどがわ」の紹介や、沖縄の知人にエアコンをプレゼントして儲ける話など、聴いていてとても面白い内容でした。また、食料品などを国産のものを購入する「地産地消」が運輸面での二酸化炭素削減に繋がり、さらには地域の発展にも繋がるという私達の身近な行動の大切さにも気付くことができました。

セミナーも後半になり、私達の仕事に関わってくる話題へと進みました。ここでは「くんえん乾燥材」「ペレットストーブ」「キャパシタ」など実在する資材や製品の紹介もありましたが、楽しくエコロジーが出来る「緑のカーテン」のお話がありました。「緑のカーテン=植物」を建物外部に設置することにより実現できる省エネは建築関係者にはとても興味深いお話だったのではないでしょうか。

最後には、私達が生活する各地域でのひとつひとつの小さな取り組みが環境保護に繋がり、地域社会の発展にも繋がる、そんな小さな行動に手を差し伸べてくれる「ap bank」の紹介がありました。

アフターセミナーは月読冨山駅前店で行いました。戦争の話から「ap bank」の活動のお話など、セミナーでは出なかった面白いお話をたくさん聴くことが出来ました。田中優さんと会話をしているうちに、田中優さんの人柄が坂本龍一さんや櫻井和寿さんをはじめとする多くの人たちを支えていると感じました。

今回はこのような機会を設けることができて本当に良かったと思います。貴重なお話をしていただいた田中優さんに感謝しています。

今回残念ながら講演会に出席出来なかった方や、セミナーの内容を思い返したい方は、今回のセミナーの内容の事が多く書かれた田中優さんの新著「地球温暖化/人類滅亡のシナリオは回避できるか」をチェックしてみてください。

(八田記)