ICCトヤマの活動

平成18年3月定例会報告
セミナー『木材の基礎と未来』

日 時 平成18年3月8日(水)
場 所 富山県林業技術センター・木材試験場及び木材利用普及センター
講 師 中谷 浩 氏
北海道出身、53才。北海道大学農学部林産学科卒、昭和 55 年より木材試験場勤務、 平成元年農学博士号取得。木材試験場製品開発課長
参加人数 21 人

当日は暖かな晴天。2時半という中途半端な開始時間にもかかわらず、木材利用普及センター(ウッドリームとやま)の研修室に用意されたほとんどの席が埋まり、時間通りに例会を始めることができました。宝田の紹介の後、中谷先生がパワーポイントを使って、まずは木材試験場の紹介。林業に関する試験場は国内には意外と少なく、ここは北海道に続いて全国的にも大規模なほう、とのこと。富山県は県産材は少ないものの、北洋材の輸入がトップレベルだということが背景にあるそうです。企業の技術支援も含め、耐力壁の開発や試験、木材利用を広げるための加工や表面仕上げの研究、間伐材や樹皮などの利用の研究など、多方面にわたる研究テーマがある、とのこと。

続いては木材全般の性質についてのレクチャー。木がどういう組織なのか、どのような性質を持っているのかを順次説明されましたが、特に水分による収縮については、重い木の方が変形が大きいこと、平衡含水率が富山の冬は太平洋側より6%も高く、それだけで1%以上の収縮を起こすことなど、個人的にも有益な情報がいろいろありました。

 その後は、全面的なリニューアルの最中の木材試験場を見学。昨年完成したばかりの性能評価試験棟は、大断面集成材を使いながら伝統的な木栓で接合して、レベルの高い強度を出しているという建物そのものが一軒の価値あり。中は化学分析の装置が多く、我々には??。ノーベル賞の田中耕一さんで有名になった島津製作所製の装置もありました。

 製品開発を行う棟では、溶剤を使わずフィルム転写によって塗装を行った内装材や、圧縮などの加工によって強度や形状を変えた丸太があったり、強度試験の装置も大小いろいろ。利用も低価格なので、世の中を驚かすようなアイディアのある方は、ぜひ相談してみてください。

 

参加申し込みは 19 名と少なかったのですが、実際の参加者は 21 名。特に会員企業のスタッフや、新年度入会希望者など会員外の参加が7名いらっしゃって、質問も多く、中身の濃い熱心な例会となりました。