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北欧デザインに触れる旅~フィンランド2日目①~
2013年2月 2日フィンランド2日目。今日もアアルト建築を見に行くため朝早く出掛けます。
まずは、ヘルシンキの朝の様子。
【ヘルシンキ大聖堂】
石畳の元老院広場を見下ろすようにそびえ建つヘルシンキ大聖堂。(カルル・エンゲル設計)
シンメトリーのデザインが印象的です。
澄み渡る朝のヘルシンキ市内を抜け、バスはトゥルク郊外のパイミオのサナトリウムに向かいます。
アルヴァ・アアルトを世界的な建築家としての地位を確立することとなった
パイミオのサナトリウム。
1933年、当時流行していた結核で患った人のための療養所として建てられました。
(当時、結核で亡くなった方が年間9000人。薬が無かった為、国内に44か所の療養所があったそうです)
患者のことを第一に考えられ、環境の良いトゥルク郊外の深い森の中にあり、
現在は総合病院として使われています。
今から80年前に建てられたとは思えない7階建ての白く美しい外観です。
帯のように配置された窓。
風の吹く方向も計算されているそうです。
いかにして患者が太陽の光を浴びるか・・・ということを考えられた配置。
病棟は、片側廊下形式で病院の暗いイメージはありません。
アアルトの患者に対する想いがこの建物にあらわれています。
正面玄関の庇は、アアルトらしい曲線のデザイン。
エントランスホールの天井には、自然光を採り込む為に円形のトップライトが設けられています。
【エントランスホール】
とてもコンパクトで曲線を描く受付ブース。待合いのチェアー。
病院内は、イエロー、パイミオブルー、ブラック、ホワイト、グレーといったカラーが所々に使われています。
病院とは思えない洗練されたデザインやカラーは、患者の心を癒したことでしょう。
事務所や食堂がある管理棟の窓面にはオレンジ・グリーンのオーニングが取りつけられています。
【食堂】
大きな窓が配置された食堂。この大きな窓はドイツからもってきたそうです。
椅子やランチョンマット、明るい色使いは、食欲をそそるビタミンカラーですね。
【病院内の礼拝堂】
大開口の窓がありあることで森に中の教会のように感じる礼拝堂。
右の写真は、パイミオチェアー。
パイミオのサナトリウムの為にデザインされたもので、結核患者が呼吸が楽になるように考えられています。
【最上階のバルコニー】
結核患者が日光浴する為に作られた長いバルコニーには、松の鉢植えが置かれていました。
松には結核患者に良いとされる成分が含まれているからだそう。
奥行きのあるバルコニーは、寝たきりの患者もベットのまま日光欲ができるように・・・。
結核患者の病院として使われていた当時のままの病室が1室残されており
見学することができました。
水色を基調とした病室。
カウンター足元部分は、埃がたまらないように斜めになっている。
洗面は、水を流しても音がしないような形状。
収納家具は、扉を閉めても上下が開口になっており空気が流れるようになっている。
パイミオのサナトリウムには、アアルトが結核患者のために考えつくしたデザインや機能が
溢れていて、アアルトの偉大さを改めて感じる建物でした。
なお、このサナトリウムは、財政難、法律を満たせない部分があるということで
来年(2013年)閉館になる予定だそうです・・・とても残念です。
パイミオを後にし、次はヘルシンキ工科大学へ
「北欧デザインに触れる~フィンランド2日目②~」へつづく
(kiku 記)
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